レポート
2025.01.30
  • NIUスポーツプロジェクト

【NIUスポーツプロジェクト:レポート⑧】12月各種セミナー開催報告

キックオフセミナー

 NIUスポーツプロジェクトレポート第8回目では12月に5回にわたり開催された「スポーツマネジメントセミナー」および「クラブ化・指導者育成セミナー」について報告いたします。

①キックオフセミナー 12/8(日)開催

テーマ:中学部活の地域移行におけるクラブ化&スポーツマネジメント人材育成とは

キックオフセミナー

 キックオフセミナーは3部構成で開催され、第1部では、「『大学スポーツ』を含めた『産学官連携&市民参加型』の観点から」をテーマに、久田氏が登壇し、長崎県の現状について解説しました。続いて、石塚氏がスポーツ庁をはじめとする関係機関の動向について説明しました。

 第2部では「スポーツマネジメント人材育成&『企業、クラブ、大学』の観点から」をテーマに、法人格を有する団体、特に野球競技におけるクラブ事業について、阪長氏が解説しました。

 第3部では国内外の先進的な事例が紹介されました。国内事例として、大阪体育大学の取り組みを末永講師が解説し、海外事例として、全米における「スポーツ人口生産工場」と称されるカリフォルニア州の取り組みについて、徳吉スポーツ支援・振興室長が説明しました。

 その後、登壇者によるトークセッションと参加者との質疑応答が行われ、活発な意見交換がなされました。

 本セミナーでは特に、「中学部活の地域移行におけるクラブ化」において、人材や指導力に加え、「クラブを運営する力」の重要性が強調されました。これに関連して、本学が佐世保市内の中学校で実施した「指導者アシスタント」の活動報告では、部活動に参加する中学生が予想以上に少ない現状が明らかになりました。学生たちはクラブ化に伴う課題に直面し、自ら何ができるかを考え、主体的に取り組んでいる様子が紹介されました。

 今回のセミナーでは、国内外のクラブ運営の事例を通じて、単なる中学生への指導にとどまらず、各競技の「育成・振興」や「スポーツマネジメント」の必要性が改めて認識される機会となりました。

②スポーツマネジメントセミナー 12/14(土)開催

テーマ:「企業」における「スポーツマネジメント」について
   ~「スポーツ」関連の仕事とは&スポーツ留学とは…~ 

スポーツマネジメントセミナー

 今回のセミナーには、中高生や大学生、保護者、さらにはクラブ関係者など、現在スポーツに取り組んでいる多くの方々が参加しました。

 セミナーの冒頭では、徳吉氏が本セミナーの主旨を説明し、大学スポーツ指導者の役割や先進的事例調査について解説を行いました。その後、「スポーツのその先~競技力向上&スポーツで培う“力”&卒業後の進路」をテーマに講話が行われました。

 続いて、アメリカの大学スポーツの現状について、平林氏が解説を行いました。スポーツマネジメントの観点から、アメフトのビジネスモデルを例に挙げ、指導者の給与とチケット収入の関係について具体的に説明しました。

 宮原氏からは大学スポーツにおける企業協賛や部活動マネジメントに関する話がありました。その中で、大学部活動における部員の役割や、卒業後の進路としてスポーツ関連業界・業種の具体的な事例を紹介し、参加者の関心を引きました。

 続いて、江島講師からは学生時代の留学経験を通じて感じた大学スポーツについて話されました。また、怪我がきっかけとなった自身の研究分野でもある「形態学・機能学」の学びや、教員としてスポーツ系の学生に対する期待についても触れられました。
 その後、登壇者によるトークセッションや、参加者との質疑応答が行われました。

 セミナー終了後のアンケートでは、「現在取り組んでいるスポーツ活動を続けるべきか悩んでいたが、大学院進学や就職のイメージが明確になった」といった声が多く寄せられました。また、スポーツの重要性を改めて認識できたという感想も多く見られました。

③クラブ化・指導者育成セミナー 12/14(土)開催

クラブ化・指導者育成セミナー

 本セミナーは、第1部「ジュニア指導における評価・プログラムの考え方」と第2部「総合型地域スポーツクラブ関係者の皆さまとの情報交換会」の2部構成で開催されました。

 第1部では、学生が授業の一環として参加し、一般の参加者にも大学授業を体験できる内容となっており、講師を務めた長津助教から「スポーツ活動における生まれ期と行動観察の重要性」について解説がありました。また、現在「指導者アシスタント」として活動中の大学生と総合型地域スポーツクラブ関係者に向けて、ジュニア指導におけるプログラムの考え方として、スポーツの垣根を越えた多種多様な動きを取り入れた練習方法や、一定の活動量と強度を確保することの重要性について、具体的な助言がなされました。

 次の第2部では、総合型地域スポーツクラブ関係者との情報交換会が行われました。冒頭では、末永講師が「佐世保市内中学校における学生指導者のニーズ調査」について報告し、その後、総合型地域スポーツクラブの課題や長崎県内の総合型地域スポーツクラブの現状について説明がありました。後半には、セミナーに出席したクラブ関係者とのトークセッションが行われ、参加者との質疑応答の時間も設けられました。

 登壇したクラブ関係者は、本セミナー内で紹介されたジュニア指導のコンセプトに感銘を受けたことや、県内のクラブ運営の現状を踏まえ、地域スポーツ振興活動に取り組む学生に対し、称賛の言葉と今後の活躍への期待を述べられました。

④スポーツマネジメントセミナー 12/15(日)開催

テーマ:「プロチーム」におけるクラブ化について

スポーツマネジメントセミナー

 本セミナーでは、株式会社V・ファーレン長崎の「長崎スタジアムシティプロジェクト」を題材に、テーマに沿った内容で進行しました。

 セミナーの冒頭では、スポーツ庁地域スポーツクラブ活動アドバイザーの久田氏より、長崎県内におけるクラブ化の現状について説明がありました。また、プロチームや大学との連携を通じたクラブ化の活性化についても触れられました。

 続いて、参加者との質疑応答が行われた後、松山教授による「日本サッカー界におけるクラブ化の流れ」に関する講演が実施され、国内におけるクラブ化の進展とその背景について理解を深める内容となりました。

 その後、V・ファーレン長崎のクラブ・リレーションズ・オフィサーである高木氏から、ジャパネットグループによる「長崎スタジアムシティプロジェクト」についての詳細な説明がありました。セミナーの締めくくりでは、高木氏への謝辞が述べられるとともに、NIUスポーツプロジェクトよりV・ファーレン長崎への応援メッセージとして、応援ボードを用いた「V・ファーレン長崎応援メッセージ」が贈られました。

 今回のセミナーを通じて、地域移行型のクラブ化を推進する上で、企業、大学、行政の産学官連携の重要性と、スポーツマネジメント人材の育成の必要性が改めて示されました。これらの連携と人材育成が進むことで、クラブの活性化に繋がることが参加者に深く理解された内容となりました。

⑤クラブ化・指導者育成セミナー 12/14(土)

テーマ:「地域」におけるクラブ化について

クラブ化・指導者育成セミナー

 本セミナーは、事例紹介を中心に実施されました。まず、藤木氏より「NPO法人ふみの里スポーツクラブ」の事例説明が行われ、続いて築城氏が「一般社団法人Azure Sky」の事例を紹介しました。

 事例説明では、クラブ化に伴うクラブ運営の3つの重要なポイントについて解説がありました。具体的には、法人格を取得すること、また、クラブ運営(クラブマネジメント)を学び、単なる中学生の指導にとどまらず、収益向上を目指した「持続的・継続的・安定的」なクラブ運営へとつなげることが挙げられました。最後に、スポーツ指導をボランティアに依存せず、他の習い事と同様に一定の会費を徴収することで、収益性を確保すること。これら3つのポイントの重要性が共有された有意義な機会となりました。

*本取り組みは、長崎国際大学が採択された「スポーツ庁:令和6年度感動する大学スポーツ総合支援事業にて実施しています。

長崎国際大学「NIUスポーツプロジェクト」